リフォーム営業の仕事は激務で安月給が基本になります。
転職をお考えの人は考え直した方がいいでしょう。興味があるぐらいの感覚では勤まらない世界です。
本当にリフォームの仕事が好きだ!と思う人以外は止めておく方が無難です。と言い切れるぐらい過酷な世界です。
と求人のような書き出しですが、リフォームをする事を考えると営業マンが現場調査に来る事になります。
その営業マンがどのように毎日を過ごしているかがわかれば色々な辻褄が合うと思います。
リフォームをお考えの皆さま是非リフォーム営業の仕事を知って下さい。
会社により変わる部分はありますが基本的には同じような環境です。
今回は最初~最後の完工までを1人の営業が担当するリフォーム会社の内容になります。
地域密着型のリフォーム会社は以下のような仕事内容になります。
リフォーム営業マンの日々の仕事
リフォーム営業の主な仕事は「営業」だと思われている人も多いと思いますが、営業とは名ばかりで実際にはそれ以外の業務に日々追われる事になります。
リフォームを経験した人の中には担当の営業の折り返しの電話やメールが遅いと感じた事がある人がいると思いますが、これは営業の仕事だけをしている訳ではないからです。
実際の営業活動は月に数日程度しか取れません。
会社にリフォームの相談が入ります。リフォームの営業マンの仕事はここから始まります。
現場調査
会社にリフォームの相談が入るとまず電話をしアポを取ります。
営業マンにより対応できる案件の規模は変わりますが、一か月の間に1人20~30の案件数を抱える事になります。
僕の場合はリピートや紹介を合わせた数で20~40の案件を受け持っています。
会社からの反響はシステムキッチン・システムバスの単発~全面改装までの幅で受け持っています。
リピートや紹介ではトイレや洗面等の水回りの小物工事も周ります。
現場調査ではお客様の自宅での取付環境や工事をスムーズに進める事の出来る環境なのか?を確認すると共にプランや仕様の紹介から見積りを作る内容を打合せで決めていきます。
小物の工事であれば10分~30分あれば終わりますが、全面改装の規模になると2時間の確保は必要になります。今までの最長時間は現場調査に4時間かかりました。
見積りの作成
現場調査を元に見積りを作成します。
初めての工事であればここで調べる時間が必要になります。造作工事が何処まで絡むかにより見積り作成の時間が変わります。
最近で一番時間がかかった見積りは2畳ほどの吹き抜けにガラスの床を組んで欲しいと言う依頼でした。
実際に部屋として使いたいとの希望があり、最低200kgの加重には耐えれる床を作る内容で調べるのに時間がかかったのを覚えています。
見積り作成と言っても見積りだけ作る訳ではありません。添付資料の作成が必要です。
お客様の工事の内容によりますが「仕様表」「工程表」「図面」は最低でも揃えないといけません。
見積り作成の流れは以下のようになります。
- 図面の作成
- 仕様表の作成
- 見積り作成
- 工程の作成
このような流れで見積りを完成させていきます。
全ての工事を契約頂くと仮定して値引きが何処までいけるのかの把握もこの段階でしています。
実際の工程は契約後の商品納期職人の予定により変更される事になります。
この段階の見積りはお客様に工事の流れを感じて貰う為の物になります。
見積りの提出・商談
作成した見積りが完成すると次は見積りの提出になります。
中規模以上の案件ではお客様の希望がどのぐらいの金額で可能なのか?の判断になる事が多いです。
予算以上の見積りであれば削れる所を探し、予算以下であればグレードを上げる等の調整に入ります。
使用する建材の変更もこの段階で変わる事があるので、代案は用意して見積り提出に伺うようにします。
このやり取りを数回して金額と内容に折り合いがつけば契約となり、折り合いがつかなければ流れる事になります。
もちろん流れた場合は一切の費用はかかりませんので当たり前ですが営業マンには1円も入りません。
リフォーム会社によって出張費がかかる所もありますが、見積り無料の所で見積りを取れば一切の費用はかかりません。
契約後は職人の手配・商品の手配
契約が決まれば商品を発注していく事になります。
商品の発注と職人の都合を確認をしながら工程に照らし合わせ、無理な場合は工程を変更し組みなおす事をします。
工事がスムーズに進むかはこの段階で8割決まります。本決まりの工程をここで作る事になります。
スムーズな工事を行えない人はこの「工程造り」が下手な営業マンなのです。
家の造りや広さを考え現場納品の日付を考え、常に現場にどれだけの材料があるのかを考え、現場で出るゴミの量を日々で割り出し、職人の作業がぶつからないように段取りし、色々な事を決めていくのがこの段階の工程造りになります。
見積りで決まった内容を平面図に落とし込み、大工、設備、電気、内装の作業を図面と指示書に落とし込むのもここで決めます。
大きな現場では着工までに時間がかかる事が多い為、契約が決まったらすぐにこの作業をしないとヌケが出てきます。
最終工程の打ち合わせ
最終工程が出来ればお客様と工程と工事内容についての打ち合わせになります。
契約の内容を完璧に図面と指示書に落とし込んでお客様と確認し合います。ここでお客様のOKが出ると工事がスムーズに進む事はほぼ決まったような物です。
あとはリフォームならではの解体しないとわからない事が何処まで出てくるかになります。
最初の見積りの段階である程度の事は想定していますし、工程の中でも何かある事を含めて作成しているので、大半の事には対応できるのですがやはりリフォームなので予定が狂う事もあります。
図面や指示書に間違いや漏れがあった場合打ち合わせで気付く事が出来ます。打ち合わせ時に気付けば作り直して再確認する事が出来ます。
リフォーム営業をしていて工事が上手くいかない人はこの最終打ち合わせをするようにすれば、スムーズに進むようになります。
ポイントは図面と指示書になります。お客様と職人が同じ物を共有しあなたが確認作業をするとトラブルや言った言わないが大幅に減りスムーズな工事が出来るようになります。
今まで工事の時に気付いていた事が打ち合わせで気付くようになり、忘れていて大変だった事が忘れても大丈夫になります。
リフォームを考えているお客様は最終打ち合わせをしてもらうようにして下さい。
近所の挨拶まわり
工事の予定が決まると次はご近所挨拶になります。マンションの場合は申請書類の提出も必要になります。
マンションの場合申請から着工までの期間を置かないといけないマンションもあります。
僕の経験で一番長かったのは1か月でその時は工程を組みなおす必要がありました。
事前に確認しておかないと僕のように二度手間になる場合があります。
工事の養生
工事の養生をするのも営業マンの仕事になります。
公務部のある会社は公務で養生をする場合もありますし、職人で養生をする場合もあります。
しかし見積りを安く仕上げるには営業が自分で養生をする事になります。
リフォーム専門の会社は営業が養生をするのが当たり前です。室内の養生からマンション養生まで営業がこなします。
養生をめくり清掃をするのも営業がやります。
ハウスクリーニングの見積りはどうしても金額が高くなりお客様に省かれる事があります。
省かれたとしてもそのままの状態で引き渡す事は出来ませんので一般清掃を営業がする事になります。
工事後の清掃は大変です。。。
材料の搬入
運送屋にもよりますがキッチンの搬入が軒先渡しの運送屋もあります、エレベーターで上げれない物は上げない運送屋もいます。
この場合の対応は全て営業がする事になります。
現場で急に必要になった材料を買い届けるのも営業の仕事になります。
工事の時の雑務は全て営業の仕事になります。
段取りの悪い営業は材料関係の雑務に振り回される事になります。
僕の場合は現場に向かう前に電話で必要な物がないか?の確認をする程度で買物関係は対応できています。
現場入れが出来ない商品は事務所や倉庫に搬入する事になります。その商品を現場に運ぶのも営業の仕事になります。
現場確認
現場確認をするのも営業の仕事です。
予定通りの流れで進んでいるのか?無理はないか?現場は散らかっていないか?様々な事を確認する作業になります。
工事の確認と翌日の打ち合わせもありますので毎日現場には行く事になります。
ゴミ回収
現場で出たごみを回収するのも営業の仕事になります。
空き家の工事でゴミの引き取りを依頼する事もできますが費用がかかります。見積りを安くするには営業が自分でゴミを回収する必要があります。
営業マンも体力仕事なのです。
完工確認
完工した時の確認も営業の仕事になります。
見積り通りの工事が出来ているか?仕上がりに問題はないか?を確認する作業になります。
養生をめくったり清掃をしたりするのはこのタイミングになります。
このようにリフォーム営業の仕事は会社に電話が入った時から完工するまでに携わる事になります。
買物も養生も清掃もお金を使うと自分でする必要はありませんが、人を使うと見積り金額が高くなる為自分でやる事になります。
リフォーム営業マンの他の仕事
上で紹介しているのはリフォーム営業マンの日々の仕事になります。
これ意外の仕事ももちろんあります。ここでは週間業務、月間業務の仕事を紹介していきます。
日々の仕事は契約を取り完工させる事に追われるのですが、週間業務、月間業務では会社的な事や過去のお客様の対応が主な仕事になります。
過去のお客様の対応に時間を使う事が出来ると将来的にリフォームの仕事は楽になっていきます。リフォーム営業を始めたばかりの人は過去のお客様の対応を積極的に行うようにして下さい。
ショールームの来店対応・電話対応
日曜日や祝日はお客様がショールームに足を運ぶ事が多い日になります。
リフォーム会社にもよりますが適切な対応をする為営業マンを待機させている会社があります。
時間を使いショールームに足を運ぶお客様は反響になる確率が高い為、事務員ではなく営業マンに対応をさせるのです。
日曜祝日に事務所で溜まった事務作業をこなそうとしても来店対応で全く手がつかない事があります。
その他にも電話対応をする時もあります。
会社に電話がかかってきた時事務員では回答出来ない専門的な内容であった時、営業がいればその場で電話対応を変わったり、調べて折り返して下さい。と指示がくる事もあります。
事務所にいない時も電話対応を振られるので、結構大変です。
OB訪問
以前工事をしたお客様を訪問する事をOB訪問と言います。
OB訪問をしっかりとしているとリピートや紹介が増えます。
工事はきっかけでしかなくて工事が終了してからが本当のお付き合いの始まりですので、訪問時に工事をした部分に問題が無いか、不自由している所はないのか?の確認をするようにします。
会社的にはOB訪問で反響を取り契約をしてこい!と言うのですが個人的にはそんな気持ちはサラサラなくただ訪問をする事に専念しています。
何かを売りに行くのではなく、何かあった時に声をかけやすい関係でいる事の方が重要だと個人的には考えています。
リフォーム営業をしている人で売上が安定していない人は積極的にOB訪問を行って下さい。回れば回るほど効果が出てきます。
必要な時に声をかけてくれるようになります。
僕の場合ですと月間で40~50件の訪問をするようにしています。
リフォーム営業マンはクレーム対応もする
リフォーム営業マンはクレームの対応を行います。以前の工事に不具合があった場合の施工補償で対応しますので原因を探し手配し補償の施工を行います。
これは自分の施工したお客様だけではなくて、退職した人のお客様の対応もしなければなりません。
会社のお客様が会社に連絡を入れてくるので今会社に残っている人で対応しないといけないので当たり前です。
ちなみにリフォーム営業は定着率が良くありません。
リフォーム営業は定着率の悪い仕事
30人程の営業を抱える会社で1年間で7人~10人入れ替わるのはよくある話しです。
定着率の高い会社は分業がしっかりと出来ている会社でしょう。
地域密着型のリフォーム会社の定着率は悪いです。
これからリフォーム業界で働こうと考えている人は会社選びは重要です。
基本ブラックな業界ですのでそこはご理解下さい。
見分けるポイントはあるのですがここでは割愛いたします。
定着率が悪いのはいくつかの理由があります。
業務の量が多いので拘束時間が長い
リフォーム営業の仕事内容は上で書いている通りなのですが、この仕事をこなそうとすると朝の出勤から始めたとして定時で仕事が終わる事はありません。
朝8時30分に出勤してから19時ごろまではお客様の所を訪問したり工事をしたりで事務作業は出来ません。
19時以降に事務所に戻り疲れ切った頭で事務作業になります。
平均すると21時頃に会社を出るぐらいになるでしょう。現場に泊まる人もいてるような仕事です。
お客様の家でトラブルがあると施工した所以外でもまず呼ばれますので、夜中でも電話を鳴らし来てくれと言われる事もあります。
休みの日でも電話が鳴る
休みの日でも電話は鳴ります。遠慮なく鳴ります。
定休日を設けてくれている会社は鳴らない事もあるでしょうが、平日に定休日を作った所で工事はあります。
日曜日は工事は止まっても打ち合わせが一番入る日になります。
結局休みが休みで無くなり仕事をする日の方が多いです。仕事に行かなくても電話が鳴るので完全に仕事から離れて休む事は出来ません。
大型連休はまだマシかな?ぐらいの感じですが大型連休でも事務所を開け電話対応で出ないといけない時もあります。
そして休みの日に連絡がつかないと翌日にはクレームになっている時もあります。
この業務体系で安月給
基本給を最低賃金で設定し固定残業費として数万円つけ超過分の支払いはしない。休日出勤分は支払わないがデフォルトです。
これだけの仕事をして支給総額23万~25万程度の仕事です。
税金なりなんなりを引かれると20万前後の仕事なのです。
よく言われる事なのですが
これがリフォームの営業マンの金銭的事情になります。
年収で言っても300万円代が一番多いのではないでしょうか?
リフォーム営業で500万円稼いでいる人は上出来です。
仕事の態勢は24時間365日に近い物がありますが大半は年収300万円代がリフォーム営業の実態になります。
会社は儲けていますが営業マンに還元出来ていないのが現状です。
重労働低収入の為やる気が出ない
このような労働環境の為普通の感覚を持っている人は「やる気」を無くしています。
仕事量が多いので1人1人のお客様に向き合って対応する事が難しくなります。
それをお客様が感じると不安になりストレスも溜まります。それがクレームになり営業マンは更にやる気が無くなります。
このような悪循環が起こるのがリフォームの仕事になります。
様々な要因があると思いますが、営業マンへの不満は会社の責任にある部分も大きくなります。
「家庭を犠牲にしている」と口にする営業マン「家族はどうでもいいの?」と言う奥様色々な事を見てきました。
会社に改善を求めても「他の人はやっている」「お前の能力が低いからだ」このように門前払いを食らいます。
真面目に仕事に向き合う人程精神的に疲れて退職していきます。
定着率が悪いのも頷けます。
まとめ
リフォームの営業は仕事内容は過酷な上低賃金の為定着率が良くありません。
将来独立をする事を目的に置いている人や、本当にリフォームの仕事が好きな人は楽しく続ける事が出来る仕事だとは思います。
「やりがい」を感じる人は続くでしょう。
お客様的視点でこの労働環境を考えると決していい物ではありません。
契約をしたけどその後の対応は悪くなる営業マンもいてます。
最初から最後の完工まで一貫体制と聞くといいイメージがあるかもしれません。実際に金額は安く出来ます。しかしリフォーム全体で考えた時、お金以外の部分ではどうでしょうか?
金額で選ぶのもいいかもしれませんがリフォーム会社を選ぶ時は、少し金額が高くなりますが分業の会社を選択する方が納得のいくリフォームになる可能性もあります。
これだけ過酷な労働環境の中、やる気を持ちしっかりと仕事をこなす営業マンが担当営業になるとは限りません。
自分で言うのは好きでは無いのですが、僕はしっかりと仕事をする営業マンだと自負しています。金額の安い一貫体制でしっかりと仕事をこなすとリピートや紹介があるのでやりやすくなります。
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