リフォーム工事の中でもお客様が一番感激すると言っても過言ではないクロスの施工ですが、最近クロスの原価が高騰しています。
以下サンゲツの値上げ状況になります。
・2018年10月【原材料の値上げ・物流コスト】
・2021年9月【原材料の値上げ・物流コスト】
・2022年4月【上記内容に加え、原材料の需要逼迫懸念・原材料の海外との内外価格差是正・製造にかかるコスト】
このような理由でクロス価格の値上がりが続いている状況になります。
2022年現在では2021年9月に取った見積りでは施工が出来ない価格になっています。
ここではLDKサイズ20畳のクロスの貼替費用と6畳間のクロスの貼替費用を概算で算出しています。
クロスは1m辺りの単価で見積りを作る事になるのですが以前は1m¥1,000で見積りを作れたのが現在は1m辺り¥1,100~¥1,200は必要になります。
トイレや洗面などはメートル単価ではなく「1式」でクロス・クッションフロア・ソフト幅木が入っている見積りになる事がありますが、この単価も¥2,000~¥3,000程上がっている見積りになります。
クロス値上がりによる実際の見積り金額の変化は?
1m¥100と聞くと大きく上がっているようには感じませんが施工費で見ると大きく金額が変わります。
最近約20畳のクロスの貼替のお見積りを作る機会がありました。
以前の価格であれば140m×1000円=140,000
現在の価格であれば140m×1100円=154,000
値上げにより税前の金額で¥14,000の差が出ています。
クロス貼替の施工はこの金額に
・現在のクロスをめくる
・簡易的な下地補修作業
・新しいクロスを貼る
・副資材
以上の内容が含まれています。
その他に大きな穴があると簡易的な補修では対応が出来ないので下地の補修作業が追加になり、大きな家具が多いと家具を移動する費用、床を傷つけない為の養生費が必要になります。
そしてクロスの処分費は一般的な皆様が考えるよりも高くなります。
クロス下地補修費用
クロスの下地の補修はあくまでもパテを使う事が主になります。
小さなカケや微妙な段差に使う程度の物で大きく下地が変わる事はありません。
穴があいている場合は下のボードからやりかえる必要がある場合と下地の補修キットを使い対応する場合があります。
この場合は材料費と施工費が見積りにプラスされる事になります。
クロス施工の際の家具移動
クロスを張替える時は家具は部屋の中にあると邪魔になります。
壁際はクロスを貼るからもちろんの事、天井のクロスを貼る時は「作業台」や「足場台」と呼ばれる天板の長い物の上に乗り作業しますので壁を避けて置くのも邪魔になります。
このような場合に家具移動費が発生する事になります。
施工方法は以下の2パターンになります。
クロスの職人はスムーズに作業を行いたいでしょうから、営業マンも後者の家具を完全に無くし作業をする前提の段取りと見積りを作成する事になります。
家具移動の費用ですが見積りで表記する業者としない業者に分かれます。
通常の金額の見積りをつくりそこに家具移動費をプラスしているパターン
通常のm単価のベースを上げているパターン
実際の所は前者の方が誠実な見積りを作っているのですが、後者の方が家具移動費を入れていないので相見積もりの時点で「親切」に見えてしまう不条理な現象が起こってしまうのです。
見積りの作り方は各リフォーム会社毎に変わりますのでそこら辺はどちらが正しいとも言えませんが個人的には「家具移動費」をわかるように記載し何故必要なのか?をご説明するようにしています。
クロス施工の場合の養生費
クロス施工の場合の養生費ですが施工する部屋の床全面を養生すると思っておいて下さい。
クロス貼替工事の養生は大変なのです。
1畳辺り¥500~¥700の材料費が必要になります。
6畳の部屋であれば養生の材料費で¥3,000~¥4,200必要になります。
仮に2部屋のクロスの貼替を考えている時は2部屋同時に施工して1日で終わらせる方がいいのか?
2日に分け1部屋ずつ終わらせる方がいいのか?
これはその家の状況によりかわります。
基本的には1部屋目の養生材を2部屋目で使う事で養生の材料費を浮かす事ができるのですが、家具の加減で1日で施工をする方が安くなる場合もあります。
そこは担当営業と話し会いを進め決めるようにして下さい。
クロスの処分費は高くつく
6畳の部屋のクロスを張替えると90ℓのゴミ袋1つ分のゴミが出る事になります。
地域にもよるのですがこの1袋を処分するのに必要な費用は¥6,000~¥15,000のお金が必要になります。
クロスは紙と塩化ビニールが混ざっている材質でありリサイクル不可能なのが原因です。
産廃業者のHPでも基本料金1㎥¥9000~¥15,000の間で設定されている場合がほとんどです。
重くもない髪のようなゴミなのですがその材質の問題でゴミ代が高くなります。
6畳間のクロス貼替はいくらかかる?
仮に6畳の部屋のクロスの貼替を行ったとします。
6畳と一言で言っても大きさが違います。
・京間 191cm×95cm
・中京間 182cm×91cm
・江戸間 176cm×88cm
・団地間 170cm×85cm
このようにサイズ感が違いますのでご自身のご自宅がどの間取なのかを知る事から始まります。
クロスの横幅は92㎝なのですがクロスを重ねてカットする為実際の有効寸法は90㎝で考えます。
京間・中京間と江戸間・団地間では各壁に必要なクロスの枚数が1枚増え天井でも1枚増える事になります。
今回は最近の家では江戸間団地間が多いので江戸間・団地間をベースに考えていきます。
天井の高さは240㎝で考えます。
江戸間の6畳は352cm×264cmのサイズになります。
352÷90=3.91枚
264÷90=2.93枚
数字を繰り上げしないと必要数が足りなくなるので4枚+3枚×2=14枚が必要な枚数になります。
240㎝のクロスが14枚必要なので壁のクロスは33.6m分の材料が必要になります。
これに天井のクロスは施工する時に幅264㎝の面から352㎝の面に流しますので
360㎝のクロスが3枚必要になり、10.8m分の材料が必要になります。
33.6+10.8=44.4mのクロスが必要になります。
クロスの単価¥1,100×44.4=¥48,840
これに家具移動費や養生費や処分費や諸経費が加算される事になります。
今回は家具移動がない前提で考えてみます。
クロス施工費 | ¥48,840 |
養生費 | ¥3,000 |
ゴミ処分費 | ¥10,000 |
諸経費 | ¥3,000 |
計 | ¥64,840 |
概算になりますが家具移動がなければこの費用前後の見積りが6畳間のクロスの貼替では提出される事になります。
税込みで¥70,000を超えるぐらいの金額になります。
値上げ前のクロスの価格であればクロス施工費の部分が¥44,400になり
税前で¥60,400で施工できました。
6畳間の部屋で考えると税前で¥4,440の値上がりをした事になります。
クロスの値上がりは確実に見積りに影響している
度重なるクロスの材料費の値上げにより6畳間の貼替が税込み7万円を超えるようになりました。
以前であれば税込みでも6万円代で施工可能であったにも関わらず今では難しくなっています。
このように様々な商品が値上がりを繰り返していきますので、リフォーム工事は思い付いたら早めに行動にうつす事をお勧めします。
今後も様々な商品の金額の値上げが考えられる状態ですのでリフォーム工事は早めにしておきましょう。
6畳間の1部屋で考えると¥4,440の値上げになりますが、ご自宅に6畳間が3部屋あると¥13,320の値上がりになります。
工事が大きくなると値上がりによる負担金額も大きくなりますので少しのタイミングのズレが大きな金額の違いになります。
未来の事は誰にもわかりませんが値下がりが起こる事はまず考えにくいので、リフォームを検討の方は早めの対応をお勧めします。
余談ですが冒頭のクロスの見積りの詳細になります
冒頭で20畳のクロスの貼替なのですが結果的に金額が合わずお断りになられました。
クロス施工費 | ¥154,000 |
養生費 | ¥10,000 |
ごみ処分費 | ¥35,000 |
諸経費 | ¥7,000 |
計 | ¥206,000 |
税別¥206,000通常見積りの内容でした。
家具移動はあったのですが2人で2日間入ってもらう予定で家具移動費込みで職人に相談していました。
この内容の見積りを破格の税別¥125,000で提出したのですがお断りになられました。
最初から予算が税込み¥100,000で考えられてたので出来る限りの金額で提示したのですがお力になる事ができませんでした。
利益云々の話しではないレベルでの提示だったので、これ以上は僕の力では無理でした。
もしかすると金額がいい訳で僕の事を信頼するに値しないと評価されたのかもしれません。
今後も精進が必要だなと感じた最近の出来事でした。
クロスの貼替をご検討であれば見積り一括サービスのご利用がお勧めです。
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